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オーストリア

幻のザッハトルテ

幻のザッハトルテ

 「水の都の次は 音楽の都だー♪」と うきうきしながら

  朝8時56分ウィーン駅に到着。

  ウィーンでは かの有名なザッハートルテ(いわゆるチョコレートケーキ)を、

  ホテルザッハーで食べると言う 大目的があったので、

  はやる気持ちで恒例の宿探しに入るやいなや 早々に決めてしまい、

  荷物を解く間も惜しんで 急いで部屋を出、

  市内地図を貰いに駅前のインフォメーションへ向かった。(いやしすぎ)


  ウィーン西駅で 地図を眺めながら

  「さぁーて、ホテルザッハーはどこかなー?」 と

  よだれを流さんばかりに ニヤついてると、

  バックパッカー風の日本人の男性が道を尋ねてきた。


  その人は東駅まで行きたいらしかったが

  (ウィーンには中央駅と西駅と東駅があって、

  それぞれ けっこう距離が離れているのだ)

  私もさっき着いたばかりなので、2人で一緒に地図をみていると、

  いつの間にか一緒にお昼を食べることになった。


  大通りにあるピザ屋に入り、お互いのこれまでの旅の話をしていたら

  あっという間に時間が過ぎ、気が付けば客は私たちだけで

  お店の人が『そろそろ休憩時間にしたいんだけどなー』みたいな顔してるので

  場所を変えて お茶を飲む事にした。


  『よし、ここでホテルザッハーだ!』 と思い、

  「ザッ・・」 と言いかけたら、その人が

  「ここでいいよね?」 と、すぐそばのカフェを指差したので

  笑顔で 「いいですよ」 と言い、しょんぼり ついていった。


  カフェの中は、赤い絨毯が敷きつめてある上に 年代ものらしい

  重厚なテーブルと椅子が 広い室内にゆとりある間隔で並んでおり、

  高い天井には品のあるきらびやかな シャンデリアが架かっていて

  壁には これまた16世紀位っぽい 古い絵画が並んで

  どこかの貴族の家に招待されたような気分になった。


  『いけてるじゃん!ウィーン♪』 と感心したが 

  ふと見ると、目の前の銀色の鏡に 自分のボロい服装と 

  夜行明けの疲れきった顔が 映っていて  

  『お前がいけてねーぞ!』 と思い、

  次回来るときはもう少しお洒落してこようと誓った。


  席に着きコーヒーを注文すると これまた素晴らしく

  銀のお盆にコーヒーとお水が仰々しく乗せられてやってきた。

  気持ちお上品に おコーヒーを頂きながらまた話が盛り上がり

  結局日が沈むまで喋り込んでしまったので

  「ごめんなさい!もう帰らないと」 と急いで帰る道すがら

  ふと横を見ると 赤いひさしのホテルザッハーを見つけてしまい

  『いつかまた来るからね』 と横目に身ながら帰途についた。

何も見てないぞウィーン

​何も見てないぞウィーン

今まで 国から国への移動は夜行を使っていたけど

次の国ハンガリーは、ウィーンからわずか4時間で行けてしまうので、

今回は朝9時の電車に乗る事にし、結局昨日ウィーンに着いてから

ピザ屋とカフェしか行かないまま出発することに・・


 

でもまあ、『たまにはこんなのもアリよね』 と

期待を胸に(この頃はもう不安の方は大分なくなってきていた)ハンガリーへ!

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